Rupert Neve Designs Portico 5032
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Rupert Neve Designs Portico 5032

Portico 5032, ソリッドステート・プリアンプ from Rupert Neve Designs in the Portico series.

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RUPERT NEVE DESIGNS Portico シリーズ レポート

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ニーヴ。プロフェッショナルなサウンド・エンジニアにとって特別な響きを持つ名前ではないだろうか。1985 年に自らの名を冠した会社と袂を分っても尚、ルパート・ニーヴははんだごてを置くことなく新しいモジュールを創造し続けている。それがこの Portico シリーズだ。

Denfert 2008/09/14

Porticoシリーズをテスト

ニーヴ。プロフェッショナルなサウンド・エンジニアにとって特別な響きを持つ名前ではないだろうか。1985年に自らの名を冠した会社と袂を分っても尚、ルパート・ニーヴははんだごてを置くことなく新しいモジュールを創造し続けている。それがこのPorticoシリーズだ。
5032 avant 5032 arrière
FOCURISTEやAMEKといったメーカーの商品を開発した後、この有名なエンジニアは今、彼自身の会社RUPERT NEVE DESIGNSのために仕事をしているのはご存知の通り。RUPERT NEVE DESIGNSはそのプロダクツを通じていくつかの誓いを立てている。何よりも先ず彼らの名にふさわしく音に一切妥協しないこと。そしてなるべく手の届きやすい価格になるように設計することだ。 なんだかもうお財布からクレジットカードのうなり声が聞こえてきそうだが、ここはひとつはっきりさせよう。1台あたり約1,200€の価格のPorticoシリーズはそこらの店にたくさん並んでいる中国製とは同じ土俵にいない。しかし入門レベルのマーケットに割って入りそうには見えないのは確かだが、Porticoがライバルにしているのは明らかにより高価な機材たちなのだ。もしRUPERT NEVE DESIGNSが誓いを守っているなら、その価格以上の魅力があるかもしれない。 Porticoシリーズは新しくはない。最初のモデルが出たのは2005年だ。しかし最近「化粧直し」をしたのを機に、このプロダクツを見直してみようということになった。 Porticoシリーズのモジュールは現在8種類:
  • 5012 – デュオ・マイク・プリアンプ
  • 5014 – ステレオ・フィールド・エディター
  • 5015 – マイク・プリ / コンプレッサー
  • 5016 – デュオ・マイク・プリ / DI
  • 5032 – マイク・プリ / イコライザー
  • 5033 – 5バンド・イコライザー
  • 5042 – テープ・シミュレーター
  • 5043 – コンプレッサー / リミッター・デュオ
5014 avant 5014 arrière
可能な限り価格を下げるために、全てのモデルは同じハーフラックのコンパクトな筐体で外部電源になっている。もちろん最も美的な解決策という訳ではないが、電源を内蔵にした場合の遮蔽やコストの問題を効果的に避けている。 同様に端子の方式も、各チャンネルのXLRイン/アウトは全モデル共通だ。各モデルともモジュールによってミキシングコンソールやエフェクト・ループに直接繋げるようTRS端子を備えている。唯一の難点はパワースイッチが背面にあることだろう。グローバルコストを下げるため、可能な限り共通のコンポーネントを使えるようにデザインした結果なのかもしれない。 電気的にはコストセーブ一切無しだ。全てのモジュールは分離したコンポーネント(集積回路とは対照的にコンポーネントにつき1回路)とカスタム設計のトランスで構成されている。 今回は5012、5015、5032、5033、そして5043をレポートする。それでは詳しく見て行こう。

5012 Duo Mic Pre-Amp – デュオ・マイク・プリアンプ

5012 avant 5012 arrière
このダブル・プリアンプはRUPERT NEVE DESIGNSの記念すべき最初の製品だ。これを使うと直ちにトーンが決まる。 回路設計はシンプルにしてダイレクト。プリアンプのサウンドの特徴を決める上で大部分を担うインプット/アウトプット・トランスフォーマーはルパート・ニーヴ本人の豊富な経験によって編み出されたものだ。 各チャンネルのゲイン調整の仕組みは独特でとても良く出来ている。最初のつまみは6dBずつ (マックス66dB) 増加し、2つめのつまみで−6から+6までの範囲を細かくチューンできるようになっている。 各チャンネルは非常に正確なダイオードのVUメーターを持つ。プリアンプに普通あるようなファンタム電源スイッチや位相反転、ハイパス・フィルターやミュートといった伝統的なコントロールももちろん備えている。
5015 avant
それらに加え「SILK」という変わった機能があり、有害なフィードバックを減らしながら倍音を整える。後ほどサウンドファイルでその効果をお聴きいただこう。 サウンドに関しては、このプリアンプはヘッドルームに余裕があるため歪みにくい。サウンドキャラクターはどちらかというとモダンで、私見では特に声が非常に良い。高域はとりわけ詳細だが、全てのスペクトラムがきちんと保持されている。 「SILK」を使うやいなや音の織りなす世界は微妙に変わり始める。低音がやや太く強調されたビンテージなフィーリング、基本的にはロックの音だ。どんな場面にでもふさわしいという訳ではないが、この高く評価すべきプリアンプは2つの全く異なる色を出すことができるのだ。 つまり1200€で特色が異なる2つのプリアンプが手に入るということになる。この音質レベルを考えれば、凄くいい取引だ!

5043 Compressor / Limiter Duo – コンプレッサー / リミッター・デュオ

5043 avant 5043 arrière
このデュアル・コンプレッサー/リミッターは5012と基本的に同じ作りになっている。名前の示すように2つの独立チャンネルがハーフラックに収まっている。 各コンプレッション・チャンネルはアタック、リリース、コンプレッション・レシオ、ゲインといったセッティングを共有する。チャンネルをリンクするスイッチもある。 2つ1組のVUメーターによって、入力レベルとコンプレッサーを通したゲインとを正確にモニターできる。チャンネル1かチャンネル2かを選んでコントロールするボタンも装備。 5012同様、デュアルシステムにより2台分のコストパフォーマンスを提供しているコンプレッサーだと言えるだろう。「FeedForward」モードでは直接インプットからの電圧で作動することで、素早い立ち上がりとハードなコンプレッションを実現している。またこれとは逆に「FeedBack」モードではアウトプットからの電圧により、よりソフトなアタックだ。
5016 avant 5016 arrière
ほとんどのコンプレッサーがこのどちらかのアプローチをフォローしている中、5043は両方を提供することで更に存在価値を高めている。筆者のAPI 7600にも同様の機能があり気に入っているのだが、2つのモードの違いはなかなか見えにくい。それに対し5043では2つのモードの違いは明白かつ実用的だ。 早めに言ってしまえば、全てのPorticoシリーズ製品の中でまず最初に最も惹きつけられたのがこのコンプレッサーだった。ドラムに使用する場合などコンプレッサーのリストトップ3には入れたい。鋭いアタックの「FeedForward」モードではバスドラはパワフルになるがシンバル等の高域はきちんと保持され、レシオを上げた場合でも過剰になることはない。常にバランスが保たれその効果はとてもに音楽的で自然だ。「FeedBack」モードをベースに使用すればアタックはマイルドになり、よりビンテージな雰囲気を醸すベクトルへと傾く。 このモードによってはっきり異なるセッティングのおかげで、5043はミキシングやドラムスだけでなくプリマスタリングにも最適だ。この小さい箱が全てこなしてくれる。 というわけで5043は個人的にPorticoシリーズで最も気に入っている。そしてクオリティーと価格のバランスから見ても、もし多目的なコンプレッサーを探しているならかなり興味深い選択肢と言えるだろう。

5033 5 Band EQ – 5バンド・イコライザー

5033 avant 5033 arrière
今までに紹介した2機種とは異なり、5033だけは1チャンネル仕様。プリアンプとしても使える5バンドイコライザーだ。やはりルパート・ニーヴ・プロセッサーをベースに、各バンドを12dBまで増減できる。 入力ゲインを-12dBから12dBまで調節できるので、シンセサイザーやエレクトリック・ピアノ等、出力帯域が幅広い様々な楽器への使用に理想的だ。 低域と高域はシェルビング・フィルターで他の3バンドはパラメトリックになっている。低−中域、中域、中−高域は別々にバイパスできることは知っておく価値があるだろう。低域と高域は同時にしかバイパスできない。 実際使用すると、このイコライザーは全帯域に渡ってとても音楽的に作用する。正確で厳密な調整によって音を望むような形に彫刻することができるのだ。品質は折り紙付きのイコライザーによって、もし必要なら、決して不適切な出音になることなくサウンドキャラクターをドラスティックに変化させることが可能だ。 唯一ひっかかるのは1200€で1チャンネルという点。2チャンネルで2400€也。得られる結果は充分に価値のあるものだとしても、結構な投資だ。

その他のモジュール

他のモジュールは出来る限り様々なニーズに応えられるように、異なるプリアンプ、コンプ、イコライザー・モジュール(5バンドから3バンド、動作は同様)のバリエーションになっている。例えばプリアンプ/EQの5032はボーカルのトラッキングに適している。プリアンプ/コンプの5015はベースにとってパーフェクトなソリューションだろう。このように、Porticoシリーズで全てを網羅することが可能だ。 以下にいくつかのサウンドファイルもアップしておこう。 ベース 生音 ベース コンプ ベース イコライザー 1 ベース イコライザー 2 ドラムス 生音 ドラムス コンプ (10:1 レシオ, リリース 180/200ms, FeedForwardモード) ドラムス コンプ (リリース 260ms, FeedBackモード) ドラムス コンプ (リリース 260ms, FeedForwardモード) AKG C414で収録したアコースティック・ギター + プリアンプ AKG C414で収録したアコースティック・ギター + プリアンプおよびコンプレッサー AKG C414で収録した声, プリアンプ SILK使用 AKG C414で収録した声, プリアンプ SILKなし AKG C414で収録した声, プリアンプ ゲインを過剰に上げSILK使用 AKG C414で収録した声, プリアンプ ゲインを過剰に上げているがSILKなし

結論

Rack
伝説的なレコーディングの世界からやって来た偉大な業績に耳を傾けるかのような至福の時間だった。以前のやや安っぽいパネルよりかなり良くなった新しい外観もそれにふさわしい。これらのモジュールは全て、素晴らしい音質と正真正銘の個性を持っている。 性質がはっきり異なる2つのモードを持つプリアンプとコンプレッサーのモジュールは、どんなソースを扱う上でも非常に多目的に使用できるとても重宝するツールだと言える。 コストパフォーマンスの点から見ても、少なくともステレオ・モジュールに関しては、あなたのテスト・リストに加えてみるべき価値があるのではないだろうか。
  • 音質!その一語に尽きる
  • コンプレッサーは特に素晴らしい
  • ダブル・チャンネル製品の価格
  • 省スペース
  • シングル・チャンネル製品の価格
  • 電源スイッチが背面