Fender Mustang V Head
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Fender Mustang V Head

Mustang V Head, Modelling Guitar Amp Head from Fender in the Mustang Amp series.

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Fender『Mustang V』詳細レビュー

デジタルアンプヘッド
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一年ほど前、フェンダーは小型のデジタルモデリングコンボ『Mustang』シリーズを発表した。以来、同シリーズからは、今回レビューするアンプヘッドタイプの『Mustang V』を含め、次々と強力な新製品が登場し、その製品レンジを広げていった。

『G-Dec』および『Mustang』の両シリーズで、フェンダーは低価格帯のアンプ製品レンジを再び活気づけようと試みているのだ。これらのアンプは、共にモデリング技術が採用されている点以外にも、プリセットの設定や共有を行うために直接 PC に接続できるようになっている。さらに、デジタルオーディオインターフェイスとして使用すれば、お好みのシーケンサー上でダイレクトレコーディングも可能となる。

 

この『Mustang』シリーズは大まかに 2 つの製品群に分かれており、一つは小型の『Mustang I』と同『II』で、もう一つは大型かつ高出力の『Mustang III』、『IV』および『V』だ。後者 3 モデルも基本は小型コンボバージョンと同じ作りだが、より多くの性能が備えられている点で異なっている。3 モデル間の唯一の違いは、スピーカータイプと出力だ。『Mustang III』は、12" Celestion G12T-100 スピーカーを搭載した 100 W コンボで、『Mustang IV』は、2 基の 12" Celestion G12P-80 スピーカー搭載の 2 x 75 W ステレオコンボだ。今回レビューする『Mustang V』は、2 x 75 W 出力を持つステレオアンプヘッドで、ステレオタイプの 4 x 12 キャビネットに接続することができる。

 

Fender Mustang V

早速梱包を開けると、中から重さ 12,2kg のかっこいい「レンガ」が現れた。外形寸法は、奥行き 26cm x 幅 67,31cm x 高さ 26,7cm。標準的なサイズのアンプヘッドだ。仕上げも美しく、製品も頑丈そうだ。外観は、そのアンプの持つモダンな性能とは対照的にビンテージ風味たっぷりだ。「ソンブレロ」タイプのノブ、カーボンツイードのカバーリング、そしてシルバーグリル、どれも素敵だ。この非常に手頃なアンプ(マッチドキャビネットとヘッドを合わせても 7 万円程度だ)のフィニッシュは、より高価な製品のそれと同レベルの品質を誇る。まずは幸先のいいスタートと言えよう。

 

ところで、各コントロールノブ、スイッチ類、そしてディスプレイはアンプヘッドの上部に装備されている。些細だが大切な詳細情報だ。このヘッドを 4x12 キャビネットの上に載せた場合、背のとても低い人だと扱いづらいかも知れない。私自身は長身なので特に問題は感じなかったが・・・。

 

トップおよびリアパネル

Fender Mustang V

まずはリアパネルに備えられた接続端子類からみていこう。ステレオでキャビネット接続ができるように 6.3mm フォンジャックが 2 系統用意されている。各チャンネルの出力は最低インピーダンス 8 オームでそれぞれ 75 W だ。2 ボタンおよび 4 ボタンタイプのフットスイッチ接続端子が備えられているが、この製品には 4 ボタンタイプのフットスイッチのみが付属している。このフットスイッチでバンクおよびプリセットの切り替え、さらにエフェクトのバイパスとチューナーの起動が行える。頑丈かつ必要な機能すべてを備えたこのフットスイッチには参った。小さなディスプレイまで装備されているのだから。ステージ上でのタップダンスが得意なギタリストは、2 ボタンと 4 ボタンの両タイプのフットスイッチを接続して計 6 ボタンのフットスイッチを足下に置くこともできる。リアパネルには、他にもステレオ FX ループ用の 6.3mm フォンジャック端子が用意されている。

 

Fender Mustang V

トップパネルには、すべてのコントロールノブ類とギター入力端子を装備。「ソンブレロ」タイプのノブはアンプモデリング用のコントローラーで、ゲイン、ボリューム、トレブル、ミドル、ベース、リバーブ、そしてマスターの調節がそれぞれ可能となっている。マスターボリュームの設定のみプリセットに保存できない点は気を付けて欲しいところだが、これはむしろ都合のいいことで、プリセットの内容さえ決定すれば、あとは環境(リハスタ、自宅など)に応じてマスターボリュームを調節するだけで済む。モデリング部の設定は簡単かつ直感的で、コントロールノブを廻すと右側のディスプレイに値が表示される。ディスプレイ上には、アンプの設定に加えてエフェクト類もすべて表示される。しかし、エンドレスエンコーダタイプのノブではないため、設定値が突然跳ね上がる場合がある。例えば、ボリュームノブが 8 の位置にあり、プリセットに保存された値が 3 だった場合、このコントロールノブを廻した途端に音量が 3 から 8 に一気に上昇してしまうのだ。大音量で耳を痛めないように十分気を付けて欲しい。

 

それではパラメーターの編集をしてみよう。

 

ディスプレイとブラウジング

Fender Mustang V

ディスプレイの下に 5 つのバックライトボタンがある。「Amp」にはアンプモデリングの値が表示され、このボタンを 1 度か 2 度押すと次のページのパラメータにアクセス可能だ。「Stomp」ボタンはプリアンプ段に搭載されているバーチャルストンプボックス(ファズ、オーバードライブ、ワウ、コンプレッサーなど)へのアクセス用だ。「Mod」はポストプリアンプ段にかかるモジュレーションエフェクト(コーラス、フランジャー、トレモロなど)、ディレイ、およびリバーブ用だ。いずれかのボタンを押すと該当するエフェクトが起動(もしくは解除)し、ボタンを押し続けると編集ページが表示される。編集は、ディスプレイ右側にある大きなエンドレスエンコーダで簡単に行える。エンコーダを廻してエフェクトをブラウズし、使用するエフェクトが決定したらエンコーダを押すだけ。すると即座に該当エフェクトのパラメータにアクセスできる。エンコーダを使っての編集は決して最高の方法ではないが、少なくとも問題なく機能する(個人的にはディスプレイ下に 5 つのミニエンコーダが欲しい、もしくはすべてをタッチスクリーンにしてはどうか!?)。

 

エンコーダを 2 回押すとシグナルパスが表示されるが、エフェクトの配列を変更したい場合は付属の FUSE ソフトウェアを使用する必要がある。

 

Fender Mustang V

エンコーダの右には 4 つのバックライトボタンが用意されており、「Util」はアンプパラメータ(LCD コントラストなど)へのアクセス用で、3 つのプリセットに即座にアクセスできる。「Save」ボタンは文字通り設定の保存用で、「Exit」ボタンを押すと再びメインページに戻ることができる。「Tap/Tuner」はテンポの設定および内蔵チューナーの起動用だ。

 

トップパネルには他にも CD/MP3 プレイヤー接続用の AUX ミニジャック端子が装備されており、さらに、隣人に迷惑をかけなくても済むようフォーン端子も用意されている。ヘッドフォンを接続すれば、スピーカーは自動的にミュートされる。最後になってしまったが、トップパネル右端にある USB ポートと PC を接続すれば、アンプ内蔵の FUSE ソフトを好みのオーディオシーケンサー上で操作することができる。

 

数多くの性能が備えられているようだが、肝心のサウンドはどうなんだろう。

 

搭載モデル等々

Fender Mustang V

アンプの試奏には、Gibson 335、Gibson SG Classic、Fender American Standard テレキャスターおよび同ストラトキャスター、そして Ibanez RG を使用した。

 

まず、クリーンモデルは非常に説得力のある音色だ。Fender は、自社アンプのモデリングはしっかりと心得ているようだ。搭載されているアンプモデルも、'57 Champ、'57 Deluxe、'65 Deluxe Reverb、'59 Bassman、それに '65 Twin Reverb と丸みのある音が特徴的なアンプからブライトなものまで実に幅広い。Gibson 335 のネックピックアップで各アンプモデルを試してみると、どのモデルでも個性のある音色が得られた。ストラトキャスターで試奏した '65 Princeton にも同じことが言え、非常にバランスの取れたサウンドで力強く、ギターの音色を忠実に再現してくれている。

 

 

 

57 Champ + 335 Manche
00:0000:13
  • 57 Champ + 335 Manche00:13
  • 65 Twin Reverb + 335 Manche00:13
  • 59 Bassman + 335 Manche00:13
  • 65 Princeton Stratocaster Manche00:22
  • 57 Deluxe + 335 Manche00:13
  • 65 Deluxe Reverb + 335 Manche00:13
  • Fender 65 Spring00:15

 

次に Bassman のモデリングにファズとオーバードライブのエフェクトを加えてみた。ギターは Mustang が良い仕事をしてくれた。高域に気をつけないとすぐにアグレッシブな音色になってしまうため注意が必要だが、そのためのコントロールノブ、若干の調節で問題解決だ。内蔵されたストンプボックスモデルが、オーバードライブとファズの 2 種類しかないのが非常に残念。

 

59 Bassman + Overdrive + SG Classic Chevalet
00:0000:20
  • 59 Bassman + Overdrive + SG Classic Chevalet00:20
  • 59 Bassman + Fuzz + SG Classic Chevalet00:20

 

オーバードライブサウンドには 335 のブリッジピックアップを使用し、アンプは British 60'、70's そして 80's の各モデルを試してみた。クリーンの Fender アンプモデル同様、これら 3 つのアンプモデリングも非常に良くできている。典型的な 70 年代風のブリティッシュサウンドから、80 年代の尖ったサウンドまで、どのギタリストも自分好みの音色を見つけることができるだろう。メタルにならない程度にディストーションを加えたい場合は、Supersonic が非常に良い。

 

British 70s + 335 Chevalet
00:0000:21
  • British 70s + 335 Chevalet00:21
  • British 60s + 335 Chevalet00:21
  • British 80s + 335 Chevalet00:21
  • Super-Sonic + 335 Chevalet00:21

 

メタル用には 2 つのアンプモデルが用意されており、1 つは American 90's で、もう 1 つは Metal 2000 だ。こちらは Ibanez の RG モデルで試奏してみた。サウンドも、他のモデルと比べるとそれほど良くはない。我々は 攻撃的すぎる Metal 2000 の音より、American 90's の方が気に入った。が、中には前者の過激な歪みが好きな人もいるだろう。

 

American 90s + Ibanez RG Chevalet
00:0000:17
  • American 90s + Ibanez RG Chevalet00:17
  • Metal 2000 + Ibanez RG Chevalet00:17

 

エフェクトはと言えば、内容自体は悪くなく、用途やプレイヤーによっては十分役に立ってくれるだろう。FX ループを使えばもちろん持参のペダルを接続できる。しかし、いつもペダルボードを持ち歩くのが面倒な人には、内蔵エフェクトは実に便利だ。

 

59 Bassman + Vibratone + Tele P-Rails Milieu
00:0000:13
  • 59 Bassman + Vibratone + Tele P-Rails Milieu00:13
  • 59 Bassman + Triangle Chorus00:20
  • 59 Bassman + Sine Flange + Telecaster Manche00:20
  • 65 Twin Reverb + Phaser + Tele P-Rails Manche00:11
  • Arena Reverb00:15
  • Echo FIlter00:15

結論

比較的低価格ながら、幅広い音作りができるという点を踏まえれば、この『Mustang』はお買い得なアンプだ。しかし、他の類似製品の多くに備えられているループ機能がないのは残念だし、もう少しディストーション系のペダル数を増やしても良かっただろう。さらに、直接アンプ上で各種設定を変更するのはあまり実践的ではないし、いくつかのパラメーターを調節するには付属の FUSE ソフトウェアを使う必要があった。全体的なサウンドは、この価格帯のモデリングアンプとしては十分説得力がある。特にクリーンとブリティッシュアンプのサウンドは見事だ。まぁこの手のアンプには良くあることだが、ハイゲインサウンドは今一。付属の高品質なフットスイッチを考慮すれば、価格相応の包括的なギターアンプと言える。

 

  • クリーン、クランチ、そしてディストーションサウンド
  • 価格
  • 十分なモデリング数
  • 見事なフットスイッチが付属
  • 製造品質の高さ
  • 使いやすさ
  • FUSE ソフトウェア
  • FUSE がないと不完全な操作性
  • ループ機能なし
  • ありきたりなハイゲインサウンド
  • ディストーション/オーバードライブペダルの数が不十分