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Line 6 M13 詳細レビュー
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Line 6 といえばストンプボックス・モデラーもあるが、どちらかというと長年有名プロも含め多くのギタリスト達の必殺兵器のひとつになっている POD のイメージが強かった。先ずそれぞれの役割に特化したエフェクターありき。そしてそれらはやがて M13 のようなコンセプトへと進化した。つまり全てのモジュールとエフェクト・タイプをひとつのボードにまとめたというだけでなく、更に新しい特徴と可能性をも合体させたマルチエフェクターペダルボードだ。

Doomfred 2008/08/29

Line 6 M13 をテストする

Line 6 といえばストンプボックス・モデラーもあるが、どちらかというと長年有名プロも含め多くのギタリスト達の必殺兵器のひとつになっているPODのイメージが強かった。先ずそれぞれの役割に特化したエフェクターありき。そしてそれらはやがてM13のようなコンセプトへと進化した。つまり全てのモジュールとエフェクト・タイプをひとつのボードにまとめたというだけでなく、更に新しい特徴と可能性をも合体させたマルチ・エフェクター・ペダルボードだ。
M13
元々のストンプ・ボックス・シリーズの大きめな筐体から、M13では幅約40センチでほとんど正方形の金属製マルチ・エフェクト・ペダルになっている。それぞれディスプレイにつまみ類、プロテクター・バー、そして3つのフットスイッチを備えた同じ4つの『ユニット』が面積の大部分を占める。右側には様々な機能を切り替える3つのフットスイッチを備えた別のユニットがある。 背面パネルには2つのインプット(ステレオ/モノ)と1組のアウトプット(ステレオ/モノ)、エッフェクト・ループ、MIDI イン・アウト、2つのエクスプレッション・ペダル用インプットがある。デザインと相まって頑丈で重そうな印象だ。つまみ以外はほとんど全て金属製で、そのつまみも他の一般的な製品に比べて小さく見えるほどだ。 ひとたびスイッチを入れるとあちこちが光りだす。ディスプレイ、各スイッチ側のLED、点滅する『TAP TEMPO』、全てマルチ・カラーでいい感じ! さあ詳しく見てみよう。



概要

Affichages
デバイスがシンプルで複雑ではなさそうな場合は、自分のギターと自分のアンプに繋いでとにかく弾きまくってみることにしている。だが今回は正直言って最初は混乱してしまった。たくさんのエフェクターをひきずるギタリストになるにつれ、フットスイッチを踏みさえすればプリセットが作動しそれで充分、と馬鹿みたいに信じ込んでいたもので。でも違った。なので道しるべを求めてLine6の小さいマニュアルを読むことにした。 実際のところM13がどのように動くか理解するには、3つのプリセットとバイパスをもつ4つのエフェクターが直列に繋がっているエフェクターボードの一種と考えねばならない。上に挙げたような各『ユニット』はシグナルペダルに相当する。それぞれA・B・Cと名付けられた3つのフットスイッチによってプリセットを選択する。そして各フットスイッチのマルチカラーLEDがエフェクトの種類を教えてくれる。黄色はディストーション、青はモジュレーション、緑はディレイ、赤はリバーブ、そして紫がフィルター・エフェクトというふうに。選ばれているプリセットは他のLEDより明るく光るので判るようになっている。ユニットがバイパスされると上部のディスプレイがグレーになる。 かなり強力:あらかじめLine6によって組まれたプリセットを見ていくうちに、機能とスイッチが固定されているいわゆる伝統的なマルチ・エフェクターやエフェクターボードと違って、M13ではどのエフェクトをどのプリセット・スイッチにでも割り当てることができるのだ。つまり基本的にはディストーションを4つ重ねたり、またはモジュレーション、リバーブやディレイ、あるいはフィルターを4つ重ねることもできる。何でもありの自由さだ! プリセットを設定するには単に『TYPE』ボタンを押すことでかけたいエフェクトを選び(液晶ディスプレイの色がエフェクトに応じて変わる)、同ボタンで選択状態にするだけだ。そしてそのエフェクトを調整する。つまみのセッティングは液晶ディスプレイに表示される。他には特に何もしなくていい。M13はフィジカル・エフェクトペダルみたいにつまみの最後の位置を記憶してくれる。簡単でしょ? けどちょっとした不都合もある。例えばつまみが電動でなくなって以来(もし電動だったらかなり高価になってたことは間違いないが)つまみの位置は必ずしもエフェクト調整の最後の値を反映しないのだ。一方、つまみを動かせばただちにその位置がエフェクトの設定値になる。なので設定値が急激に変わっても驚かないようにしないと。 どうやらどんなエフェクトを調整する場合でもつまみの感度は変わらないようだ。ほとんどのエフェクトには問題ないとしてもディレイタイムの調整にはやや精度を欠くかもしれない。まぁロング・ディレイの場合はミリ秒単位の細かい調整は必要ないので、ショートタイム・ディレイの場合に限ったちょっとした残念な点だ。

サウンド

Tranche
サウンドに関してはM13は主要な5種類のエフェクト・タイプと合計75のエフェクトを備えている。もちろんここで全ての詳細については書ききれないが。なので主要なエフェクト・タイプに絞って一般的な意見を述べるに留めるとしよう。例えばエフェクトは完全にLine6 Stompbox Modelersと同じであることは知っておくといいだろう。Stompbox ModelersについてはAudioFanzineでそれぞれレビューしている。(英文) ディストーション DM4 ディレイ DL4 モジュレーション MM4 フィルター FM4 リバーブ Verbzilla ディストーションはかなり異なっておりすぐにそれと解る。他はかなり「エキゾチック」だがなかなか面白い。オリジナル・モデルに比べてかなりコンプレッサーがかかった感じで、自分の見たところ、オーバードライブでその傾向がより顕著だ。ファズも同様だがより自然でずっといい。メタル・ゾーン・シミュレーションに関しては、オリジナル・モデルにあるようなパラメトリック・イコライザーがないのがちょっとだけ残念な点だ。 様々なコーラス、フェーザー、フランジャー、そしてトレモロを備えたモジュレーション群は効果抜群。ここでもオリジナル・モデルのキャラクターがはっきり見て取れるが、唯一の例外はユニヴァイブでオリジナル・モデルに比べておとなしい気がする。 ディレイに関してはというと、私見ではあるが、M13の最高な部分だ。テープエコー・シミュレーション、アナログエコー、デジタル、リバーブ、全てが揃い、素晴らしい効果をあげる。このデバイスで一番気に入っているところなんだ! フィルターはハイパースペースへのドアを開く。豊富な波形フィルター、シンセベース、そしてLine6によるこれら全てのフィルターの様々なコンビネーションが用意されている。まるで別世界の音みたいに劇的にサウンドが変わるので、個性的な音を探すにはとてもいい。 リバーブについては、昔のフェンダー製アンプのスプリング・リバーブからデジタル・ディレイまでいろいろなタイプがある。どれもいいが、特に『Octave』リバーブは非常にエアリーな効果をもたらしてくれる。 ここにちょっとしたデモ・オーディオファイルもアップしておいた。

ルーパー、その他

Switchs
M13はまだまだ驚かせてくれる。それぞれ2つの機能がある右側の3つのスイッチについてまだ触れていなかったね。一番下の『TAP』ボタンでは、ディレイやモジュレーション等の曲のテンポに関係するパラメータを同期させることができる。旧来のエフェクターボードに対しM13では、全てのエフェクトを相互にシンクロさせることができるのが大きな利点だ! スイッチを長押しすることでチューナーを起動できる。 2番目のフットスイッチでは28秒ものレコーディングが可能なルーパーが起動する! ルーパーの機能は下段2列のスイッチでコントロールするようになっており、レコーディング、レコーディングに合わせたプレイ、サンプル・レイヤーのコントロール、またリバース再生やハーフスピード再生(音程は1オクターブ下がる)も可能。上段の4つのスイッチはルーパーの起動時に設定されていたエフェクト4つのオン・オフを切り替える。つまり、ルーパーはフェクトの前でも後でもかまわない! このやり方でサンプルも一緒にサウンドを変化させることができる。
Connectique
『SCENE』フットスイッチでデバイスのツアーを締めくくろう。これは従来のマルチエフェクターでいうところの『BANK』に近いもの。M13がメモリに記憶している12の『シーン』(またはエフェクトの設定、より厳密に言えばエフェクトのマトリックス)を選べるようにする役割だ。 ここで終わりにしてもいいのだが、まだ終わりじゃない。『SCENE』を長押しするとM13の設定モードに入る。実際のところLine6はM13をより型にはまらない使い方をしたい人に向けて、ほとんどの機能をカスタマイズできるようにしている。なのでプリセットをカスタマイズしたければ何の問題もない。設定の自動保存はオンにもオフにもできる。 同様にもしサウンドのエフェクト順をオリジナルと逆にしたければ、それもOK、即可能だ。ループ・エフェクトもいつでもかけられるし、バイパス・モードを『TRUE BYPASS』にすればバッファーなしに直接エフェクト・アウトへサウンドが送られる。もしM13を従来のエフェクトボードのように使いたければ、12個のメモリーがある別々のエフェクターのように扱えるモードもある。 MIDIマネージメント(ユーザーマニュアルではちょっと解りにくかったが、幸いガイドにはより詳しく載っている)の写真を加えておこう。このデバイスで可能なことをだいたいひととおり見てきたことになる。

結論

Switchs
最後に、何を覚えておくべきかまとめよう。 まずM13は今までのありふれたエフェクトボードではないということ。いわば従来のエフェクトボードとルーパーをトッピングしたモデリング・エフェクターのハイブリッドだ。実際に使用すれば従来のエフェクター・マニアもマルチエフェクター好きも両方満足させられる柔軟性がある。もちろんボードからエフェクターを取り替えることはできないが、必要に応じて呼び出せる印象的なコレクションとループ・エフェクトはほとんどのニーズに対して折り合いをつけることができるだろう…。実際のところサウンドとエフェクトの質に関しては、必ずしも万人の好みではないかもしれないが、それでもM13の欠点を見つけることは難しい。強いて挙げるならアンプ・チャンネルを遠隔操作できないことくらいだろうか。しかしこの製品のもつ凄い可能性とは比較にならない。 本当の疑問はむしろ、「誰がこのM13のポテンシャルをフルに引き出せるのか?」ということだろう。その答えは重要ではない、なぜなら同社の『ストンプボックス・モデラー』の2個分以下の値段で、完全なコレクション以上のものが手に入るのだから。Line6は恐らく今後真似されるかもしれない新しい『マルチ・エフェクト』のアプローチを世に送り出したと言えるだろう。
  • 膨大なエフェクト・コレクション
  • 柔軟な操作性
  • ルーパーおよびチューナー内蔵
  • 素晴らしいモジュレーションとディレイ
  • マルチエフェクトの新しいアプローチ
  • 他と比べた場合のディストーションの質
  • 不十分な MIDI 解説
  • アンプ・チャンネルを切り替えられない
  • エフェクト設定つまみが充分敏感でない
  • 液晶ディスプレイがもう少し手前に起き上がっていればより見易かっただろう