Fender American Special Jazz Bass
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Fender American Special Jazz Bass

American Special Jazz Bass, 4-string bass guitar from Fender belonging to the American Special Jazz Bass model.

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Fender『American Special』シリーズベース詳細レビュー

ハイウェイ・ワンの後継

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2006 年にアップデートされた『Highway One』に続き、Fender USA から再び手頃な価格帯の最新製品が登場した。今度はプレシジョンベースとジャズベースだ。

このパッシブタイプの両ベースモデルは 1,000 US ドル以下で販売され、各モデルともに 4 種類のフィニッシュが用意されている。ローズ指板モデルには 3 カラーサンバーストとホワイトの 2 色、メイプル指板モデルにはブラックとレッドの 2 色がある。すなわち計 8 種類の最新モデルがカタログに追加されたことになる。編集部では、ローズ指板とメイプル指板のモデルをそれぞれ一本ずつ試してみた。

 

会計人から伝説へ

Fender American Special

1920 年代初頭、ジョージ・フロストは自動車産業の革命を決意し、『Ford T』の運転席に世界初の「カーオーディオ」を搭載した。まだ 18 歳だった彼のアイディアは、瞬く間に世間のトレンドとなった。1930 年に米国の「ガルビン・コーポレーション」がカーラジオを製作すると、多くの人が 『Marconi V2a』のような家庭用ラジオを改造して、車に積んでいた。この最初のカーオーディオこそが、モーター(自動車)とオーラ(音)の 2 単語を結びつけた「モトローラ」なのだ。ご存知だったかな?今、モトローラは電子・通信機器の大企業に成長している。1920 年から 30 年にかけて、自動車の修理店は新車販売の際にカスタムモディファイ、すなわち顧客のリクエストに応じた改造をオプションで提供するようになった。カリフォルニアで自動車販売をしていたレオ・フェンダーの叔父にあたる人物がまさに好例だ。実は、この叔父こそが当時 13 歳だった彼の甥に車の部品やバッテリーを送って「技術オタク」に変えた張本人なのである。1 年後、レオは叔父の作業場を訪れ、そこで叔父が組み立てたラジオ受信機を目にした。

 

Fender American Special

若かりしレオにとって、この装置はまさに目から鱗だった。彼は 10 代の頃、アナハイムとフラトンの中間にある両親の家に作業場を作り、そこでラジオ受信機の修理を始めた。しかし彼はカレッジや大学で電子工学を学ぶことはなく、1928 年に会計学を学んだのだった。大学で学位を手にしたレオだったが、1930 年代の大恐慌時には職を転々とし、その間に結婚。近所のダンスホールを相手にした PA システムの製作を始めた。しかしこれは彼に取って副業に過ぎなかった。1938 年になると、従業員削減で職を失い続けていたレオは会計職から足を洗うことを決意。第二次世界大戦を招くことになる世界的不況だったにもかかわらず、彼は 600 ドルを借り入れて最初の会社を設立。それがラジオや音響機器の販売・修理を行う「 フェンダー・ラジオ・サービス」だった。

 

ここまでがフェンダーストーリーの第一章だ。続きは、次回フェンダー製品のレビュー記事で紹介することにしよう。それでは現代まで逆戻りして、早速この『American Special』シリーズを紹介していこう。

 

似て非なるもの

Fender American Special

今年はプレシジョンベース誕生 60 周年、そしてジャズベース誕生 51 周年となる。両モデル共に多種多様なバージョンで現在も販売され続けている。日本、メキシコ、そして米国で生産されているジャズベースの数は 33 モデル、プレシジョンベースは 20 モデルを数える。ここに Squier ブランドは含めていない。『American Special』の名の通り、ここで紹介するモデルは米国製で、しかもかなり手頃な価格だ。恐らくこれが『Highway One』シリーズの後継となるのだろう。

 

それでは一体何が新しいのか?まずはフィニッシュからみていこう。『Highway One』シリーズはセルロースラッカー仕上げだったのに対し、『American Special』シリーズではポリウレタングロス(艶あり)が採用されている。この変化は良いのか悪いのか。これは好みにもよるだろう。セルロースラッカー仕上げなら木材も呼吸ができるため、優れた経年変化が見込める。塗装の厚みも変化し、表面にはひび割れなどが生じてくる。このタイプの仕上げは 1970 年代まで主に使用されていた。ビンテージギターの典型的なフィニッシュである。しかし、このフィニッシュは脆く、仕上げに手間がかかるという欠点がある。例えば、使用するギタースタンドの材質によっては、この塗装にダメージを与えることにもなるのだ。70 年代から、アクリルもしくはポリウレタンによる塗装が主流となった。これらのフィニッシュは仕上げが容易で、耐久性にも優れている。しかし、この塗装は木材を隔離してしまうため、楽器本来の自然な「鳴り」を妨げてしまうことも良く知られている。これはサウンドボードが音の鳴りを決定するアコースティック楽器においては明白な事実だ。しかし、エレキベースとなれば、音の変化はそれほど決定的ではない。個人的には、塗装は全体の音色にそれほど大きな影響は及ぼさないと考えている。しかし、木材が異なった経年変化をみせることは事実だし、それは自分でも経験済みだ。

 

Fender American Special

好みを言わせてもらえば、セルロースラッカーの感触の方が好きだが、『Highway One』シリーズのサテン(艶なし)フィニッシュがどうも気に入らなかった。自分は『American Special』シリーズのグロスフィニッシュの方が好きだ。安っぽくみえないし、塗装も厚すぎず薄すぎず、適度な厚さを保っている。『Highway One』との相違点二つ目はブリッジだ。残念ながら、『Badass IV』からシンプルなビンテージタイプのブリッジに変更されている。新しいスペックが以前のモデルより劣っているというのは残念なことだ。これだったら『American Standard』シリーズのような弦裏通しタイプのブリッジに変更されていた方が良かった。 その他の違いをみていこう。『American Special』シリーズでは、オプションでメイプル指板が選べるようになっている。これは『Highway One』にはなかった。より強いアタックを求めるベーシストにとっては嬉しいオプションだ。

 

それ以外のスペックは同じ。9.5 インチのネックに、フレット数は 20。ジャズベースのナット幅は 38.1mm と標準サイズで、プレシジョンの方も 41.3mm とスタンダードだ。ピックアップはアルニコ・マグネットで、回路は独自の「グリースバケット」を採用している。これは 2 つのキャパシタと 1 つの抵抗を使ってローを強調せずにハイを削ることのできるシステムだ。・・・と、少なくともフェンダーは言っているが、このシステムに関してはまた後ほどチェックしてみよう。

 

試奏

 

このレビューでは、両モデルともに直接オーディオインターフェイスに接続して録音している。各サウンドサンプル共に 2 つのバージョンがあり、ひとつは DI ボックス経由で、もうひとつは TC Electronic の『RebelHead 450』アンプと Two Notes『Torpedo VB-101』を通したものだ。まず、プレシジョンとジャズの両モデルを比較できるようシンプルなベースラインを 4 つ弾いてみた。

 

まずはジャズベースのピックアップ 2 種類と、プレシジョンベースのピックアップのサウンドだ。

 

 

RebelHead450 - Doigt - Deux micros
00:0000:12
  • RebelHead450 - Doigt - Deux micros00:12
  • DI - Doigt - Deux micros00:12
  • RebelHead450 - Doigt - Micro Manche00:26
  • DI - Doigt - Micro Manche00:26
  • RebelHead450 - Doigt - Micro Chevalet00:26
  • DI - Doigt - Micro Chevalet00:26
  • RebelHead450 - Tone=000:26
  • DI - Tone=000:26
  • RebelHead450 - Tone=500:13
  • DI - Tone=500:13
  • RebelHead450 - Tone=5 ex200:11
  • DI - Tone=5 ex200:11
  • RebelHead450 - Tone=1000:13
  • DI - Tone=1000:13

 

 

Fender American Special

正直言うと、自分はいわゆる「グリースバケット」の個性が好きではない。スタンダードな回路となんら違いがないとは言えない。その違いを確認するにはキャパシタを一つ取り除いて、ピックアップと楽器の音色を聴く必要があるからだ。しかし、楽器の改造は趣味じゃないので個人的な意見を述べさせてもらうし、それは客観的なものである必要はないわけだが、この「グリースバック」、フィーリングも音色も他のトーンコントロールと何ら変わりはない。プレシジョンベースのトーンをフラットにした録音を聴くと、ローエンドの弱さと若干中抜けしたサウンドに気付く。これ自体は決して悪いことではない。

 

しかし、このグリースバケットはベーシストを念頭に開発されたものなのだろうか。このシステムは、高域の存在感を常に確保したいと思うギタリストを念頭に作られたもののように思える。 ひょっとしたら自分はこのテクノロジーの利点を理解できていないのかもしれない。『Highway One』シリーズのストラトキャスターおよびテレキャスターにもこのシステムが搭載されていたが、ベーシストのニーズに合ってるとは思えないのだ。これは私個人の考えであって、すべてのベーシストを代弁するわけではないことを断っておこう。

 

Fender American Special

ジャズベースは、指弾きだと若干固い音色に感じられる。それも当然、メイプル指板モデルだからだ。個人的にはローズ指板のジャズベース、およびメイプル指板のプレシジョンが好きだ。 伝統的なシングルタイプのピックアップを備えたこのモデルは、かなりアグレッシブなサウンドを出す。力強い音楽にはもってこいだ。つまり、この「ジャズ」ベースは、むしろ「ロック」に合うということだ。自分同様、ジャズベースを「本来の用途」に使用したいのであれば、ロース指板のモデルを選ぶといいだろう。プレシジョンベースに関しては特に大きな驚きはない。期待通りの音色を出してくれる。そのストレートで効果的なトーンは、どの音楽ジャンルにもハマるわけではないが、あらゆる状況にうまく対応してくれるだろう。

 

スラッピングをするなら、メイプル指板のジャズベースが良い。しかし、プレシジョンの持つパーカッシブな魅力も捨てがたい。そのサムサウンドは、1970 年代の偉大なジェリー・シェフを思い起こさせる。

 

 

RebelHead450 - Slap - Deux micros
00:0000:23
  • RebelHead450 - Slap - Deux micros00:23
  • DI - Slap - Deux micros00:23
  • RebelHead450 - Slap00:20
  • DI - Slap00:20

 

 

ピック弾きなら、プレシジョンのワイドなサウンドの方が好みだ。しかし、よりアグレッシブな音色を出したいならジャズベースの方が魅力的かもしれない。

 

 

RebelHead450 - Mediator - Deux micros
00:0000:16
  • RebelHead450 - Mediator - Deux micros00:16
  • DI - Mediator - Deux micros00:16
  • RebelHead450 - Mediator00:25
  • DI - Mediator00:25

 

 

どちらの『American Special』ベースも同じ品質のため、どちらのモデルにするかは好みの問題だろう。

 

結論

 

結局、この手頃なアメリカンモデルに関しては多くを語る必要はなさそうだ。ブリッジ以外は『Highway One』より劣る仕様はなく、若干の値上げのみでフィニッシュも改善されている。これにソフトケースがついて価格は 1,000 US ドルだ。フィニッシュの内容によって価格も前後し、サンバーストは他のモデルより高めになっている。しかしながら、もし自分がフェンダーの手頃なジャズベースを探していたとしたら、この『American Special』を選ぶかどうかは分からない。このシリーズよりも魅力的なメキシコ製および日本製のモデルもあるからだ。どうしても「Made in USA」のベースが欲しいけれど、スタンダードモデルを買う予算が取れないというユーザーにはもってこいだろう。

 

しかし生産国へのこだわりがないのなら是非フェンダーの総合カタログにも目を通してみて欲しい。莫大な数の選択肢だ、可能な限り数多くのモデルを試奏してみよう。

 

  • 『Highway One』の艶なし塗装より優れたグロス(艶あり)塗装
  • 見事な仕上げ(フィニッシュ)
  • 標準的なサイズ
  • ギグバッグ付属
  • アルニコマグネット(『Highway One』シリーズ同様)
  • 高品質なフェンダー製ストリングス採用
  • 『Badass IV』より劣るブリッジ
  • 左利きモデルがないこと