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ギターケーブルとは、似て非なるものなり

ギターケーブルの真実
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ケーブルはケーブルでしょ?そう思う人もいるかも知れない。しかし、ケーブルを変えればサウンドも変化し、時にその変化は劇的な場合があるのだ。

もし、エンジニアには聞こえない何かをギタリストが聞き取っている場合、ギタリストの言い分に賭けてみると良い。例えば、ギタリストの中には、異なるケーブルによるサウンドの違いを聞き分けられる人がいる。ケーブルはケーブルでしょ?そう思う人もいるかも知れない。しかし、ケーブルを変えればサウンドも変化し、時にその変化は劇的な場合があるのだ。なぜそうなのか。それには何度も繰り返される、技術的な側面から見た正当な理由が存在する。

しかしながら、あるアンプではまったく異なって聞こえるケーブルも、他のアンプやピックアップの組み合わせで使うと似通って聞こえる場合がある。ギタリストが特定のピックアップ、ケーブル、そしてアンプにこだわるのも無理のないことなのだ。しかし、こういった違いがなぜ起こるのか、そしてどうすれば差異をなくすことができるのかを知っていれば、そのような不確実性に甘んじる必要はなくなる。

三位一体

ギターをエフェクターやアンプのインプットに挿す前にも、以下の三つの理由からサウンドはある意味すでに「閉じ込められている」と言っていい。

  • ピックアップの出力抵抗(アクティブタイプではなく通常のパッシブタイプを使用してるものと仮定する)

  • ケーブルのキャパシタンス(静電容量)

  • アンプの入力抵抗

まずは容易に理解できるであろうケーブルの静電容量から説明してみよう。実は、このケーブルの静電容量なるものは、ピックアップ用の第二のトーンコントロールに他ならない。

普通のトーンコントロールは、キャパシタを通して「ホット」信号をグラウンドに逃がす。キャパシタとは、周波数選択性のパーツで、低周波より高周波を良く流すのだが、このキャパシタを信号線に挟むことで高周波をグラウンドに落とすことができ、それによってトレブルを抑えることができるというわけだ。しかしながらキャパシタは低周波を阻止するため、低域信号はグラウンドに流されることなく、出力まで通過する。

トーンコントロールほどではないにせよ、どんなケーブルにも静電容量があり、場合によってその存在は無視できない。しかしながら、その静電容量がどれほどサウンドに影響を与えるかは、先に挙げた他の二つの要素(ギター出力のインピーダンス、そしてアンプ入力のインピーダンス)に左右される。

アンプ入力インピーダンス

信号をアンプに送り込むと、経路を流れる信号が一部減衰してしまう。ある場所から別の場所までパイプを使って水を送り込むと、どこかで水漏れが起きるのと似ている。その「漏れ」が針の穴程度なのか巨大な裂け目なのかは、アンプの入力インピーダンスに左右される。ストックのままのギターピックアップを使って、ギターを入力インピーダンスの低いアンプに繋げた場合、ダルいギターサウンドとなってしまう。(面白いことに、チューブは本質的に高い入力インピーダンスとなっている。チューブがギタリストの間で今だに高い人気を保っている一つの理由なのかもしれない。)

インピーダンスは、レベル(音量)のみでなく、トーンの操作自体にも影響を及ぼす。キャパシタ自体は、アンプの入力インピーダンスから影響を受けるため、トーンコントロールを構成する回路の一部に過ぎない。インピーダンスが高ければ高いほど、トーンコントロールの効果も大きくなる。ギター側のトーンコントロールが、あるアンプでは絶大に効果的で、あるアンプではそれほどでもないのは、そういったことが理由なのだ。

アンプの入力インピーダンスが高ければ、音量レベルも高く、スムーズなトーン操作が行えるが(高インピーダンスはノイズやその他の干渉波を拾いやすいという欠点もある)、逆にケーブルの静電容量によるサウンドへの効果をも際立たせてしまう。高インピーダンスのアンプでは高域が奪われてしまうケーブルも、低インピーダンスのアンプとならサウンドへの影響は特に感じられない場合があるのだ。

最後の 1 ピース

最後の一片となるのはギターの出力インピーダンスだ。 ストックのピックアップは、そのほぼすべてが比較的高い出力インピーダンスとなっている一方、アクティブタイプのピックアップの出力インピーダンスは低くなっている。アンプの入力インピーダンス同様、これがケーブルとの組み合わせによってサウンドを変化させるのである。ギターの出力インピーダンスが高ければ、ケーブルの静電容量によるサウンドへの影響は大きくなるが、逆に低ければケーブルによる音の相違は小さくなる。

もう一点考慮すべき点は、ギターの出力インピーダンスとアンプの入力インピーダンスの相互作用である。ストックのピックアップを使う場合、非常に高い入力インピーダンスを持つアンプを使用すれば、特に高域のシグナルロスを低く抑えることができる。しかしながら、低い出力インピーダンスをもつアクティブピックアップは、アンプの入力インピーダンスに比較的影響を受けないようにできている。

結論

つまり何が言いたいのか。以下に数点の指針を示そう。

  • 低インピーダンスのギター出力 + 低インピーダンスのアンプ入力 ケーブルの静電容量による音への影響はほとんどなく、ギターのトーンコントロールにあるキャパシタの影響も大きくはない。トーンコントローラーのキャパシタの値をあげれば、高域のカットがより明確になる。(注:ストックピックアップをアクティブタイプのものに交換し、トーンコントロールの効きが以前ほど効果的でない場合はこの点を考慮すること。)結論:この組み合わせならどんなケーブルを使用しても違いはほとんどない。

  • 低インピーダンスのギター出力 + 高インピーダンスのアンプ入力 ギター側のボリュームをフルにし、ギターとアンプを直に接続した場合、結論としては上(低インピーダンスのギター出力 + 低インピーダンスのアンプ入力)と同様となる。しかしながら、ギター側のボリュームを下げると、ギター出力はアンプ入力から分離してしまう。この時点で、ギター側のコントローラーに 250k 以上のタイプが使用されている場合、ケーブルの静電容量によるサウンドへの影響が表れる。

  • 高インピーダンスのギター出力 + 低インピーダンスのアンプ入力 ノーとだけ言っておこう。ギターのレベルと高域の周波数レスポンスを損なう組み合わせのため、お勧めしない。

  • 高インピーダンスのギター出力 + 高インピーダンスのアンプ入力 パッシブタイプのピックアップとチューブアンプを使用した典型的な 50 ~ 60 年代風のセットアップだ。ケーブルの静電容量がもっとも顕著にサウンドに影響を与えるのがこの場合だ。特に、コイルケーブルは通常のケーブルよりも高い静電容量を有しているため、サウンドへの影響も甚大だ。しかし、アンプからギターへの負荷は最低限度であるため、質の高いケーブルを使えば、信号のハイエンドな輝きと全体の音量レベルを維持することができる。

上記のことをすべて鑑みると、ケーブルの種類に関係なく常に同じようなサウンドが出せるセットアップをお望みなら、ストックピックアップをアクティブタイプのものに変えるのも一つの手だろう。もしくは、ギター出力の直後にインピーダンスコンバーター(バッファボード)を加えることもできる。この場合は、コンプやディストーションなど、高い入力インピーダンスと低い出力インピーダンスをもつエフェクターでも大丈夫だ。そうすれば、高い静電容量のケーブルや低い入力インピーダンスのアンプによるギターサウンドへの悪い影響を隔離することができる。

ストックのままのギターと高い入力インピーダンスのアンプをどうしても使いたい場合でも、サウンドを維持する方法がいくつかある:

  • ギターケーブルを出来る限り短くすること。ケーブルが長くなればなるほど、その静電容量が大きくなってしまう。

  • ケーブルの仕様をみると、静電容量が pF/ft. (ピコファラッド/フィート)の単位で記載されている。自分自身でケーブルを製作する場合は、フィートごとの pF 値が最も低いものを使用しよう。

  • コイルケーブルはなるだけ使用せず、ボリュームコントロールは常に最大を心がける。

  • 高級なオーディオケーブルに関する俗説は信じないこと。それで音が変わるかもしれないって?いや、変わらないだろう。自分のセットアップで音の違いを認識できないのなら、お金を節約して安めのケーブルを購入しよう。

他にもリアクタンスといった要素がギターケーブルの静電容量と絡んでくるため、本記事で取り上げた内容は若干物事を簡素化し過ぎたきらいがあることを最後にお伝えしておく。しかし、ここでカバーした内容は、サウンドに影響を与えるものであるため、リアクタンスの話はまた別の機会に譲るとしよう。

覚えておいて欲しいのは、自分のギターのサウンドがおかしいと思っても、すぐにアンプに手を伸ばさないでほしいことだ。ギター信号がアンプに到達する前にも様々な要因が存在しているのだ。ギタリストが、2 種類のケーブルによる音の違いを聞き分けている場合、そこには本当に違いがある可能性が高い。しかしあなたはもうなぜケーブルによって音が変化するのか、その場合はどうすればいいのかを知っている。


これは Harmony Central の元記事を許可のもと転載したものです。

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