Tech 21 VT Bass Deluxe
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Tech 21 Characters シリーズ『VT Bass Deluxe』詳細レビュー

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今回は Tech21 による最新バージョンの『VT Bass』を見ていくことにしよう。『VT Bass』は、ストンプボックスタイプのプリアンプで、ここでわざわざ名前を挙げる必要のないほど有名なベースアンプメーカーによる SVT アンプをシミュレートするものだ。 AudioFanzine の登録メンバーの多くが、『VT Bass』のデラックスバージョンとなるこのペダルを賞賛しており、製品レビューを望む声も多く寄せられた。そのため、編集部でも実際にテストし、感想を述べさせてもらうことにした。

論理的帰結

 

はじめに SansAmp ありき。ギタリスト向けに開発されたこの非常に実践的なペダルは、有名なクラシックアンプ類をシミュレートし、直接ミキサーに接続することができた優れものだ。当時このアイディアに興味を持つメーカーが存在しなかったため、SansAmp の開発者である B.Andrew Barta は、この製品を販売するための会社を自分自身で作らざるを得なかった。1989 年以降、革新的なデザインと売れる確信を背に登場したこのペダルは案の定大成功を収めることとなった。そして SansAmp は、当初からベーシスト向けにも Fender『Bassman』を再現できる設定を提供していた。

 

以降、このプリアンプ/DI ボックスは、『Bass Driver DI』の名前でいくつかのモデルが発表された。『Bass Driver Programmable』は、『Bass Driver Deluxe』に生まれ変わる前からすでに内蔵メモリを搭載していたが、このデラックスバージョンでは、オリジナルの 2 倍となる 6 チャンネルのユーザーメモリーの保存が可能となっており、さらに FX ループも用意されている。

 

2008 年になると、Tech 21 は『VT Bass』を発表。クラシックアンプのスタックサウンドをコンパクトペダルで再現できるようにした。そして今回、キャラクターシリーズのフラッグシップモデルとなるこの『VT Bass』から、デラックスバージョンが登場したのである。このペダルにはバランス型出力が装備されているため、グラウンドループをカットできる上に、好みの設定を保存でき、さらに、エフェクトチェインをパラレルで接続できるのだ。実践的かつアナログな進化だ。

 

 

Tech 21 Characters Series VT Bass Deluxe

VIP エリアへようこそ!コントロールパネルは視認性に優れており、初心者にも扱いやすい内容となっている。フロントパネル上には「3 バンド EQ」、「出力レベル」、「入力ゲイン」、そして「キャラクター (Character)」の計 6 つのコントロールが備えられている。最後にあった「キャラクター」コントロールについて簡単に説明しよう。このコントロールの設定はトーンとゲインの両方に適用されるため、ツマミ一つでサウンドを極端に変えることができる。ゼロの位置に近づければ、フルで丸みのあるビンテージサウンドが得られる。センターポジションだと、よりモダンな中抜けした音になり、さらにツマミを右に回していけばよりブライトでダーティなサウンドが得られる。ツマミを右に回しきると、強烈なディストーションが加わる。

 

ツマミ一つでこれだけの変化はなかなかのものだ。下のサウンドサンプルをお聴きいただければ、それがどういう意味か分かって頂けるだろう。それではスイッチ類をみていこう。3 つのフットスイッチは 3 つのプログラム可能なメモリ用で、4 つめのフットスイッチはサウンドバンクの移動と FX ループのオン/オフ用だ。この 4 つめのフットスイッチが実に賢いオプションで、2 本のベースをペダルに接続すれば、両ベースで各サウンドバンクを独立して使用することができるのだ。つまり、4 つ目のスイッチでベース間の切り替えを行い、3 つのメモリーを 2 本のベースで個別に独立使用できるという訳だ。これは実に賢明なアイディアだ。

 

Tech 21 Characters Series VT Bass Deluxe

4 つのフットスイッチ以外にも、出力信号を操作するスイッチが 3 つ備えられている。一つは XLR コネクタ用のファンタム電源のオン/オフ切り替え、およびグラウンドリフト機能の起動用だ。二つ目は、XLR 使用時に信号のオーバーロードを防ぐための -20dB パッドだ。三つ目は 1/4" ジャック用の +10dB ブースト用。

 

6 つある接続端子類は、まずうち二つが楽器入力用、一つは 1/4" 出力端子、一つは XLR 出力端子、そして FX ループとなる。7 つめの端子は 1/4" スルー端子で、ドライ信号をチューナーもしくはもう一台のアンプへと出力したい場合に使用する。例えばステージ上から、ウェット信号を FOH に送り、クリーンな信号は自分のモニター用に使いたい場合、もしくは 2 台のアンプを使用して一台をクリーンサウンド用、もう一台を歪み用に分けたい場合などに便利だ。このペダルは 9V バッテリーもしくは PSU アダプタで作動するが、そのどちらも製品には付属しておらず、別売りとなっている。 ベースとアンプ、そして買ったばかりのペダルが手元にある状況を想像してみて欲しい。胸を躍らせながらそのペダルを使おうと思ったら・・・。何も言わずにそっと立ち上がり、上着を着る。襟を正し、最寄りの電気店まで「電池を買いに」行くのだ。

 

この電池で、現在使用中のメモリーの状態、もしくは設定を LED の点灯で知ることができる。プリセットがアクティブ状態だと LED が点灯する。プリセットがバンクに保存されると LED は点滅する。各入力に LED が用意されているため、自分が今どのチャンネルを使用しているのかすぐに分かるのは便利だ。右端の LED は FX ループの使用状況を表示する。このペダルには、全体的に質の優れたパーツ類が使用されている。フットスイッチとポットもしっかりしているし、厚い金属板から成るハウジングも、グルーピーの子達に踏まれ倒されてもそう簡単には壊れなそうだ。・・・が、どうだろう。

 

音出し

 

Tech 21 Characters Series VT Bass Deluxe

それではケーブルを繋いで音を出してみよう。このレビューでは、『VT Deluxe』を XLR ケーブルを使って直接 Novation のオーディオインターフェイスに接続している。グラウンドループを避けるために、メーカー側はバッテリーの使用を推薦している。各種設定が本当に効果的かどうかを検証するために、世界で最もシンプルなベースである、パッシブタイプの Fender プレシジョンベースを使った。サウンドサンプル用にトーンコントロールはセンターポジションに固定。

 

私はこのペダルをスタジオ用プリアンプおよび 10" スピーカーシミュレーターとして使用したが、もちろん直接ベースアンプに接続して使うことも可能だ。その際、最良の方法は FX ループもしくはベースアンプ側のパワーアンプ入力に接続することだろう。アンプの楽器入力に接続することもできるが、そうするとアンプ側のプリアンプ段によってペダルからの信号が色付けされてしまう可能性がある。この『VT Deluxe』をステージアンプの補助として使用したい場合は、アンプ側の接続を確認することをお勧めする。

 

上でも述べたが、以下のサウンドサンプルは「キャラクター」コントロールによる音の変化を収めたものだ。最初のサンプルはレファレンス用にバイパスモードで録音している。二つ目のサンプルでは、プリアンプをオンにし、「キャラクター」コントロールをゼロの位置にしている。三つ目のサンプルでは、「キャラクター」コントロールをセンターポジションまで上げ、それから最大限まで回しきっている(サンプル 4)。EQ はすべてのサンプルでフラット設定で、入力レベルは信号に歪みが生じない程度まで下げてある。

 

 

1 bypass
00:0000:53
  • 1 bypass00:53
  • 2 Character mini00:53
  • 3 Character moitie00:53
  • 4 Character Full00:53

 

 

Tech 21 Characters Series VT Bass Deluxe

このコントロールの位置に応じてトーンバリエーションが変化するのがお分かりだろう。ゼロの位置では、フルで丸みのあるビンテージなトーンだが、レベルを徐々に上げいくと高域に歪みが加わっていく。コントロールを右に回しきると、非常にダーティなサウンドになる。とはいえ、どれも好みの問題ではあるのだが・・・。このコントローラーにニュートラルな設定値はなく、少しでもコントローラーを回せば、その分音色にも変化が生じる形になる。つまり、このコントローラーの機能を「解除」することはできない、ということだ。EQ 設定や入力ゲインを変えたら、それに応じてこの「キャラクター」コントロールも調節して好みのサウンドを作っていく必要があるのだ。要約すれば、この『VT Bass』は、他のベースアンプのような設定はできないということだ。

 

次の 3 つのサウンドサンプル用に EQ 設定を変えてみた。最初のサンプルでは、ローがブーストされ (2/3) 、ミッドとハイはカットされている (1/3)。二つ目のサンプルでは、中抜けしたサウンドが欲しかったため、ミッドをカットしローとハイをブーストしている。三つ目のサンプルでは、ミッドとローをブーストし (3/4) 、ハイをセンターポジションまで戻している。

 

 

5 60s Rond de base
00:0000:39
  • 5 60s Rond de base00:39
  • 6 60s Creux mediums00:31
  • 7 60s Bosse mediums00:19

 

上のサンプルでは、『VT Bass Deluxe』が提供する基本的なサウンドが聴けるのみだ。これで一つのバンクに 3 つのサウンドが入ったことになる。これらはグルーヴのある音楽に適したクリーンサウンドだ。

 

では次に残りの 3 つのメモリーに異なるディストーションサウンドを入れてみよう。シンプル・イズ・ザ・ベスト。マニュアルに記載されている設定を試していこう。まず、フリップトップスタイル:ミッドをブーストして、若干の飽和管を達成する。SVT スタイルでは歪みを若干加えて、ローエンドを圧縮させる。Rage モードでは、周波数レスポンスに若干のゆがみが生じる程度のオーバードライブが加わる。最後に Fuzz Out 。これはかなり極端なサウンドだ。強烈すぎて制御不能とはこのことだ!壁を揺らし、エンジニアの耳にドリルで穴をあけられるほどの豪快なサウンド。

 

 

 

8 Flip Top
00:0000:34
  • 8 Flip Top00:34
  • 9 SVT Style00:28
  • 10 Rage00:44
  • 11 Fuzzed Out00:36

 

結論

 

スタジオプリアンプとしての『VT Bass Deluxe』がもつ利点は明白だ。音色の特長は見分けやすく、かつオーセンティックだ。接続端子類も包括的だし、全体的なデザインも非常に良く練られている。メモリーシステムもシンプルで、ディスプレイを必要としない。ハウジングは堅牢だし、フィニッシュもフットスイッチの品質も良好だ。Tech 21 は、設立当初から基本的にアナログ製品のみを開発し、成功に導いてきた。そのからくりは、デジタルプロセッサーを使用せずに大型のアンプをコンパクトなペダルに収めてきたことにある。将来的にありとあらゆる製品が 0 と 1 の数字で作動するものばかりになり得ることを考えれば、アナログの心地よさはひとしおだ。5 万円程度のお小遣いが手元にあり、スタジオセッション時に役立つペダルが必要なら、この一台を是非検討してみて欲しい。特にビンテージなクラシックサウンドがお好きならなおさらだ。ディストーション好きのプレイヤーにもきっと気に入ってもらえることだろう。どんなベースプレイヤーにも役に立つ機能が搭載された万能な製品だと言えよう。

 

  • 良質なアナログサウンド
  • 堅牢なハウジング
  • 高品質なフットスイッチ
  • バッファード・バイパス
  • 直感的なメモリー操作
  • 包括的な端子類
  • 使い勝手の良さ
  • アナログの心地よさ
  • 電池別売り
  • 切り替えのできないスピーカーシミュレーション