TC-Helicon Harmony Singer
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TC-Helicon Harmony Singer

Harmony Singer, ボーカルプロセッサ from TC-Helicon.

public price: ¥169 VAT incl.
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TC-Helicon『Harmony Singer』詳細レビュー

ポケットサイズのコーラス隊

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2013 Value For Money Award

この世のギタリストの半数以上は、ギターを弾きながら歌を歌う。この調査に基づいて TC-Helicon が開発したのが、ギターコードを感知して自動的に最適なハーモニーを生成するコンパクト・ペダル『Harmony Singer』だ。TC-Helicon はこれまでにも類似製品を発表してきたが、今回は一体何が新しいのだろうか。

ギター信号を基にハーモニーを生成するヴォーカル・プロセッサーは、TC-Helicon にとっては新しい製品ではない。すでに 10 年前にラックタイプの 『VoiceWorks』で 4 声ハーモニーを実現させている。その後、『VoiceLive』が続き、今年『VoiceLive Touch 2』が発表された。

機能を制限して使い勝手をシンプルにした『VoiceTone』は、ペダルボードを足下に置き、歌いながらギターを弾くプレイヤー達を念頭に置いたものだった。2011 年度の Musikmesse で発表された『H1』は、ギターのコードに追随させた 2 ボイスのハーモニーを生成することができた。それから 2 年。TC-Helicon は今年のフランクフルト Musikmesse にて、『H1』の後継モデルとなるリバーブ搭載の最新ペダル『Harmony Singer』を発表した。

青色のハーモニー/スペック

梱包を紐解くと、青色の筐体が現れる。ノブとレタリングは共に白で、スイッチは金属製、そして LED は赤と緑だ。ダイキャストメタル筐体となっているため若干重量がある。ペダルの裏は、滑り防止のためのゴム底仕上げになっている。非常にがっちりした造りのペダルだ。ペダル背面部には "Made in Thailand" の表記がある。

TC Helicon Harmony Singer

3 つ用意されたノブはそれぞれ「ハーモニー」、「レベル」、「リバーブ」の調整用で、ノブの作りは頑丈だが、回し具合はきつすぎない。「リバーブ」ノブのすぐ下には「トーン」機能用の白いダイアルがあるが、フットスイッチからある程度距離もあるので、誤って踏んでしまうことはないだろう。

ペダルの右側面部にはギター用入力端子と「マイク・コントロール」ボタンが備えられている。後者を使えば、別売オプションの TC-Helicon『MP-75』、もしくは Sennheiser『e835FX』マイクロフォンを使ってマイクから直接エフェクトのオン/オフを切り替えることが可能となる。

ペダル左側面部にはギタースルー端子と、ハムノイズを抑制するグラウンドリフト・スイッチ、そしてマイクレベル調節用のボタン型ツマミがある。恐らく安全上の理由からこのツマミをボタンのような平面型にし、敢えて左側面に取り付けたのだろう。もちろんツマミの誤操作は避けたいところではあるが、逆にライブの場面で即座に変更する必要がある時など、これだと逆に操作し難いかもしれない。

そしてペダル奥部にバランス型 XLR マイク入/出力、VoiceSupport ファームウェア・アップデート用 USB 端子、そして電源コネクタが装備されている。ファンタム電源対応のマイクプリアンプを搭載しているため、コンデンサーマイクも問題なく接続可能だ。

ギターのレベル調整用ツマミがないのを不思議に思った方もいるかもしれないが、これで問題ない。なぜなら、ギターは、トーン検知回路に信号を送り込むためだけのものなのだから。 ペダルチェインの中にこの『Harmony Singer』を組み込もうと考えている人は要注意。TC-Helicon は、このペダルをペダルチェインの先頭に接続するよう述べている。サイズは『VoiceTone』と同じく小型なので、どのペダルボードにも問題なく収納できるだろう。

それでは実際に音を出して試してみよう!

ハーモニー・セントラル/機能

TC Helicon Harmony Singer

LED が点灯し、マイクレベルの設定も完了したら、次に二つの選択を迫られる。リバーブ・レベルと、使用するハーモニーの種類だ。『Harmony Singer』には、ルーム/クラブ/ホールの 3 種類のリバーブが搭載されており、ノッチ式のツマミではないため自由にリバーブ量を決定することができる。ハーモニーは逆にノッチ式となっており、低い音程から高い音程まで 8 種類の異なるハーモニーを選択することができる。

1 声、もしくは 2 声による異なる音程の組み合わせが選択可能だ。ツマミの各ポジションにあなた自身を表す大きな◯とその上下に音程を表す線が表記されている。◯の下に線が 2 本あれば、自分の声より低い音程の 2 声ハーモニー、という意味になる。ペダル中央のボリューム・ツマミは、ハーモニーの出力レベル調節用だ。

最後にトーン・ツマミだが、これは常にアクティブな状態となっており、マイク入力の声質やダイナミックレンジなどに順応して特性が最適化されるようになっている。これで誤って信号をオーバーロードさせ、PA を壊す心配もない。もしエフェクトがかかり過ぎていたり、低域を少し抑えたいといったような場合には、トーン・ツマミを押す(LED が点灯)と中高域が持ち上げられ、ドライな信号に空気感が加わる。このトーン EQ が、どの周波数帯域をどれぐらい変化させるのかといった詳細情報は手元にないのだが、実際に音色を聴けば音色の違いはすぐに認識できるだろう。実際にライブ環境でも問題なく使うことができた。私は声も大きいし、マイクに口を近づけて歌うのだが、クリッピングが一切発生しなかった。それでは実際に音色を聴いてみよう。

甘いハーモニー/試聴

『Harmony Singer』のリバーブは単独でも使えるし、ハーモニーとの併用もできる。フットスイッチを長押しすれば、リバーブはバイパスされる。

TC Helicon Harmony Singer

リバーブのみを単独で使用すると、中央の LED は点灯しない。スイッチを 1 秒間踏み込むとハーモニーが起動し、LED が赤に点灯する。これなら暗いステージでもハーモニーの有無が簡単に識別できる。

以下は、Neumann『KMS 105』マイクと、ブリッジに Fishman のピエゾピックアップをマウントした Taylor 512C を使って録音したサンプル音源だ。『Harmony Singer』と Focusrite の『Saffire Pro 24』 を XLR 接続し、PreSonus『Studio One 2.5』でサウンドのレコーディングを行った。信号レベルは 0dB でオーディオの編集は一切行っていない:

 

 
HS Children
00:0000:50
  • HS Children 00:50
  • HS Crying 00:25
  • HS Rolling 00:50
  • HS Kiss 00:53
  • HS Doors 00:30
  • Tone Boogie 00:22
  • Tone Café 00:43

ハーモニーが非常に効果的に生成されているのが分かる。アルトの帯域で歌うと低域のハーモニーが声にふくよかさを加え、逆に高域で歌えばより存在感が増す。リアルな快適さが感じられる。しかし、ソプラノの女声ハーモニーでは時折ロボットのように聴こえることも・・・。どのハーモニーを選択するかは、あなたの音楽スタイルと声次第、という訳だ。

注意しないといけないのは、ハーモニー検知の精度が非常に高いため、一音でも音を外すと、ペダル内部のコーラス隊も一緒に音を外して歌うことになる。

さらに、ハーモニーがトニックとサードでしっかりとハモるようにするためには、ギターの演奏も明瞭である必要がある。『H1』とは異なり、『Harmony Singer』ではキーをマニュアル操作で事前に設定することができないのだ。ペダル内部の回路が、ギターからのコードを検知してハーモニーを生成しているのである。単音のピッキングより、コードのかき鳴らしの方が上手くハーモニーの生成ができるだろう。

最後にリバーブについても言及しておくと、これが実に素晴らしい。トーン機能をオンにしハイトーンで歌っても、声の一貫性が失われることがない。ハーモニーと併用しても声が濁って聞こえることがない。プラスポイントだ。 

結論

TC-Helicon は、この『Harmony Singer』でギター・ヴォーカリストに 3 種類のリバーブと 8 種類の 2 声ハーモニーを提供している。そしてどの機能も実に見事な品質だ。それに加えてアダプティブ・トーン機能によるイコライジングやコンプ、ペダルボードにも組み込め、それでいて頑丈且つ小型。これで価格はたったの 199 ドルだ。

この価格でこの品質なら、ハーモニーの切り替わりが唐突だったり時には不自然に聴こえたり、また単音のピッキングではハーモニーがうまく生成されなかったりという事実も大目にみたくなるだろう。しかし忘れてはならないのは、この小さな青いペダルの中に収められているのは電子回路であって、あなたの曲を良く知る人間ではない、ということだ。

オーディオファイル(FLAC 形式)のダウンロード

2013 Value For Money Award
Pros Cons
  • 3 種類のリバーブ・アルゴリズム
  • 2 パート・ハーモニー
  • 8 種類のハーモニー・ヴォイス
  • 2 種類の EQ
  • 内蔵コンプレッサー
  • 高品位なエフェクト
  • 高い操作性
  • 堅牢且つ小型サイズのペダル
  • 価格
  • ロボットのように聞こえる高域
  • ハーモニーの変化が時折唐突
  • マイクレベルの調節が不便
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